写遊百珍

大阪国際メディア図書館「写真表現大学」研究ゼミ生&TA。各種講座のレポや、関西・東京の写真展、アート展示を特集。

【写真表現大学】H29.11/26(日)授業_作品制作

【写真表現大学】H29.11/26(日)授業_作品制作

 

( ´ - ` )ノ 

「作品制作」授業の3コマ連続日。

1コマ2時間なので、6時間耐久戦です。「作品を作る」と書きますが、暗室やプリントワークではなく、プレゼンと合評です。学校とは言えど、表現の世界に決まった解答はありません、作者もコメント者も必死で模索します。宝探しに似ています。

 

 

 

ベンチャーマインドと哲学者魂の2刀流で生きましょう。

 

 

<1限目 「作品制作」作家クラス>

 

3月初~中旬には会場搬入し、「修了展」です。

逆算すると、12月以降は実際の展示プラン策定と、プリント・額装の発注が主になります。なので11月・12月の「作品制作」授業で、手持ちの作品ストックとコンセプトとの最終的なすり合わせを行い、加速をつけて走ることになります。

 

展示については、綺麗な写真を飾ればそれで「いいね」ってしてくれる世界ではありません。「自分は何を撮りたかったのか」「その作品で何を伝えたいのか」をギャラリストや来場者、ひいては写真・アート関係者とやりとりすることになります。この現世を巡る意見交換の場を作ると言えばよいでしょうか。

 

 

映画監督の井筒氏が「映画を撮るいうんは、つまり、告発みたいなもんやね」と大学生に教えていて、良いこと言うなあと思いました。写真表現も同様に、何かこの世に対して物申す行為であるように思います。ゆえにわりと面倒くさいんですが、

 まあなんとかやっていきましょう(白目

 

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 〇松岡氏

<概要>

・水族館という、都市で唯一「海」を感じられる場所に生きるものたちの「命」に注目。

・4枚1組で想定していたが、必ずしもそのフォーマットに収まらない気がする。

・水族館によって光が全く違う。

 

<講評>

・「アート性」「ドキュメント性」「ジャーナリズム性」の3点を有しており、力のある作品になる。

・代表作、マイ・グランプリはどれか? 準グランプリはどれか?

・4枚1組は表現形式の問題。発注してトライアルを作成すること。

・水族館が社会に設置される理由は何か? なぜブームになるのか?

・水族館は設置された年代で、社会に対して期待される役割や意味が異なる →光、見え方が異なるのはそのためでは。

 

 

 

「日頃生活しててクラゲ見る機会ないでしょ」「魚屋でクラゲ売ってるの見ませんよね」「海水浴場でクラゲが出たら締め出される」「だからこれはドキュメンタリーなんですよ」

 

 

<私の私見

・我々はクラゲをけっこう見ている気になっているが、実は全然接点がない。→クラゲのイメージ・固定観念で満足している =生々しいクラゲの姿を実は知らない

・マツカサウオは食える (美味しいらしい)

・クラゲに思想はある (人々が託した役割や期待が載っている)

清少納言(女性)=日常の小さな命の輝きに注目

 ⇔ 安倍晴明(男性)=異界から式神を召喚、使役、都市作りに利用

    ( ´ - ` ) 現代も似たようなもんか

 

 

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 〇戸田氏

<概要>

・「掛け軸」シリーズと並行展開し、知人女性とその子供を撮影。洗練された体でなくても、ラインが崩れてしまっても、本来それは美しいものでは? 

・世の中にヌードは多いが、子供を産み育てた女性の心理が反映されたヌードはない。内面の美しさを撮りたい。

 

<講評>

・普遍性のあるテーマ。人間関係などのいびつさを抱えながらも、普通に生活が送れてしまう今の社会の在り様を問うもの。

・これは被写体となる女性の側の表現でもあり、カメラマンとのコラボレーションである。彼女の意思がどこにあるか、慎重な確認が必要となる。

・よって、超プライベート作品としても良い。ごく限られた、関係者だけにのみ渡される、この世で数冊しか存在しない写真集。写真はそれが可能。

・プロではできない仕事、全くの素人がセルフポートレートで、写真集を作れる時代。

 

<私の私見

・プライベート写真は踏み込みの度合い、関係性が全部出てしまう。作品のレベルに達するためには十分な意思疎通と時間が必要。それゆえに納期に縛られて作るべきではない、別に何年かかかっても良いと思います。

・ヌード撮ったことがない(白目

 

 

  

( ´ - ` ) ないどす。

 

 

( ´ - ` ) 死ぬまでに一度は撮ってみたい気がしなくもないような気がするかもしれないような別にいらんような、けど勿体ないようなでもどうでもいいような、けどなんかあれ

 

 

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<昼休み>

 

( ´ - ` ) 地方とか役所のリアルを少々聴く。

 

 ( ´ - ` ) 世の中どうかしてる。

教室に常備薬として一升瓶や蒸留酒を置いておきたいなあと思いました。

くくく。こらえよう。

 

 

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<2~3限目「作品制作」プロカメラマンクラス、基礎コース合同>

参加者が倍増。わあい。

 

作品の制作工程で重要なのは「ブツで扱う」ことです。みなさん2Lサイズでプリントして検証、検討しましょう。

 

写真はものすごく繊細なイメージです。(※直接的なフォトジェニックさを求めた広告、ファッション的な写真は除く) 並べ方や集め方で、語ってくるメッセージが出たり消えたりします。声が埋もれてしまうのはまずい。PC画面で1枚ずつ見ていては、比較・検証が全然できません。まずいので、ブツで声を聴くようにしましょう。

 

 

「最終的に5枚を展示するとしたら、30枚ぐらいの候補から選びます」「その絞り込みのためには、最低100枚は候補がないとだめです」「みなさん100枚は用意してください」 

 

 

( ´ - ` ) 数が正義です。ブツ&数で攻めていきましょう。

 

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〇吉川氏 

 

<概要>

ガーデニング写真家として修業中。私邸の庭を一般公開する庭主を訪ね、取材し、庭の魅力や庭主の声を特集する。

・「最も良い状態を皆にお披露目したい」という庭主の思いから、四季のうち大半がオフシーズン。そこを、女性同士という話しやすさを活かして交渉し、普段は公開されない時期の庭も捉えている。

 

<講評>

・断然上手くなった。いやもうすごいです。去年と格段に違います。わあ。

・庭の写真家である以上、花にも造詣が深くないといけない。(庭主などその界隈の人たちは当然知っている。)

・もともとガーデニングはイギリス由来なので、この仕事は海外でも通用する。

・庭作りを手伝うなどして、内部に深く関わってみては。外から来て撮っただけの人かどうかは、見ればすぐ分かってしまう。

 

<私の私見

・庭に赤外線センサーカメラをつけて鳥やネコや不審者を撮りたい ←都市の棲息者

・庭=人工的自然 ←水族館や植物園にも通じる「都市生活」のテーマ

 

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〇佐々木氏

 

<概要>

・年数回、旅に出向いては旅行先で撮るとともに、素朴な地元、実家の日常景も撮る。その中には、祈りや願いといったテーマが秘められている。

 

<講評>

・旅、エッセイ写真家というスタイルでやっていくとよい。様々な場所の文化、歴史との触れ合いがある。

・イメージに「等価性」があり、これは文化人類学的な視点である。

 

<私の私見

・珍しいタイプ。すべての場面が等価。地元での餅つきと、他国での夕陽やビーチ、冠婚葬祭、そして移動の視界が全部同じレベルで並べられている。旅や移動をテーマにする人はいるが、「定住」まで等価に加えられる人はなかなかいない。

・「フォトジェニック」と真逆の世界観。中心を持たない構造が面白い。その分、世界観を形にするのに苦労するかも。ハマれば強いはず。

  

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〇岩見氏  (※喋ってるのは おさちゃんです)

<概要>

・全介助状態の息子の暮らしを撮るが、「偉い」とか「可哀想」ということではない。彼は彼として生きている。

・彼の見ている世界を可視化するため、ウェアラブルカメラ(GoPro)をヘッドギアに装着して撮影した。また、撮影者も自分一人ではなく、家族みんなで協力したり、他の生徒にも撮影を依頼した。

 

<講評>

・プロカメラマンが入っていけない現場を捉えた、特筆すべき仕事。記録性、ジャーナリズム性がある。母親がカメラを扱える時代だからこそできる。

・これは「プロジェクト」、カメラマン一人の仕事ではなく、関係者全員で作り上げていくもの。

 

<私の私見

・首が傾いた状態で車いすバギーに乗っているという日常が、一体どんな世界なのかを一発で可視化した。更に、その彼と過ごす家族の視点も、被写体として共に写ったり、撮影者として代わる代わる写すことで現れている。割といろんなカットがあるので、メッセージの軸を決めないと選んで繋ぐのが大変かも。

・ バギーに乗った彼が、まるで周囲の家族に指示を出して、映画監督のように見えるカットがあり、本プロジェクトの象徴的なシーンだと感じた。 

 

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〇高橋氏

(><)メモ取るのに必死こいてたら写真とれなかった

 

<概要>

・日常の中で気になったものをフィルム撮影。最近、妹をよく撮っている。家、学校の校庭、紅葉、影・・・

<講評>

・10代の半ばの女性はすぐに変化していく。プロでは撮れない日々がある。同世代、プライベートでしか撮れない写真。

・私的な空間でしか現れてこないものが社会にはある。その記録となる。

・今はまだ何も知らない状態なので、図書館の写真集をまず見ていくこと。

<私の私見

・本人が自分自身をどう思い、どう自己評価しているかは別として、これはどう考えても生きる力が強い。ただの日常だが、どうもただ事ではない。(少なくとも私自身が10代の時は、カスカスの死骸みたいな写真しか残していない) 

・「今」を「普通に」生きるだけでたぶん戦いなんだと思う。(社会人は、自分の居場所や在り方をある程度自分でコントロールできる)

・妹さんと日常を笑い合いながらsurviveしている状況が分かった。たぶん友人や親御さんもこんな表情が二人にあるのは知ってるようで知らないのでは。あと、亀。気を許せる友達のよう。

 

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〇岩本氏

<概要>

・「あべのハルカス三十六景」依然継続中。ノイジーでとりとめのない都市の視界の中に、あまりに周辺環境と調和のない、超宗教的な超高層ビルが1本だけそびえ立つ姿は、まさにニッポンの「風景」である。

 

<講評>

・ハルカス周辺でも地区によって電線・電柱の有無、家屋の有無など、インフラに違いがある。

・電線の重なり合いがハルカスを「✖」しているようで面白い。

・次回は作品候補を全プリントし、展示に向けて総点検しましょう。

<私の私見

・だいぶ枚数が貯まっているはずなので、プリント現物で構成等の検討をしないといけない段階。単発の写真としては、毎回の撮影で何かしらネタが稼げている。ぱちぱちぱち(喜び)。

・ハルカス建てようって言ったの誰なんマジで。

 

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〇小川(雅美)氏

<概要>

・「ええげな小屋」というテーマで、農家の納屋など、ギリギリ現役稼働中の小屋を特集。タイトルのとおり「いい感じ」の小屋を狙ってロケハン。

<講評>

・生きている小屋であることが重要。セレクトでは明らかな廃屋は外す。

・もっと引きで、小屋を取り巻く全体の環境が分かるカットがあると良いが。

<私の私見

・廃墟のジャンルは非常に細分化されているが、この生きている小屋を扱ったジャンルはないので重要(廃墟ファンは死んだものにしか興味がない)

・小屋が生きてて、周囲の田畑も生きているという光景は、もう今が最後の時代かも知れない(農業、地方の集落がどんどん衰退していく)。ぜひ続けてほしい。

 

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〇小川(まなみ)氏

<概要>

三重県の山奥で「虹の泉」という彫刻楽園をたった一人で築き上げた芸術家・東健次の世界を伝えるため、奥様へのインタビューや通い撮影を継続中。

・無数の彫刻群は東氏にとっては実の子供のような存在らしい。そこに込められた思いは、「若者へのエール」。暗い社会でも「枯れることのない泉を」とのことで「虹の泉」は作られた。その思いを今に伝えられるよう模索中。

 

<講評>

・同じ彫刻でも、その表情が角度によって微妙に異なる。あえて同じ像の、複数枚の写真を並べることで、生きたメッセージとなるのではないか。この視線から何を感じられるか。写真家がこの像の気持ちを読み解かなくてはならない。

・逆に、彫刻を個別に撮り集めたり、全体像を撮っても、作家のメッセージが分からないのでは。

 

<私の私見

・彫刻が濃くてですね、キャラが非常に濃い上に、ものすごい量だし、劣化して苔?腐食?の色を強く帯びているため、庭園自体が怪物の園に見えてしまう。数が集まると、とんでもなくフリーキー。さすが三重の「B級スポット」として名高いだけのことはある。

 →彫刻の眼差しと、映像としての動きに焦点を絞るのは大賛成。作者・彫刻の意思の部分だけに焦点を合わせてしまえば、作者のピュアな思いを損なわずに伝えられる◎

 

・何度も通って撮影を続けた人でなければ、B級スポットの域を超えて「東氏の作品」としてこの園を見ることはできなかったと思う。すごいす。

 

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〇佐藤氏

<概要>

・タイトルは「垢と浄化」。デジカメに装着されている赤外線カットフィルターを意図的に除去し、センサーに赤外線を感知させて、大阪・南港付近を撮影。モノクロともカラーとも異なる世界で水辺を撮る。今回は人の生活感が出ているものも撮ってみた。

 

<講評>

・大阪港をモノクロで撮ることはネガティヴ感がないか。ポジティヴではない。

・大阪の埋め立て地が今後、万博で大きく変わることについてはどう考えるか。

・テーマタイトル含めて再検討しましょう。

 

<私の私見

最も難しいパターン(><)うわあ。本人のやりたい気持ちは分かる。一方で、時代性に適合しているかというと。モノクロは難しい。やり尽くされた領域どす。迂闊にアドバイスできない。ああん。どうしよ。好きに走ってほしい反面、このままでは作家プレゼン時にPRすることがない。

・粗いモノクロ光景ゆえ、プロヴォークのイメージを数百倍希釈したように受け取られかねない。作者が「なぜ、赤外線か」「なぜ、大阪港は荒涼としているか」、理由と必然性を語れるようにしたい。

楢橋朝子ぐらい全力で、人為の澱と垢が生み出したクリーチャー的な世界の妙へと踏み込むことができれば、作品がコンセプトを語ってくれる可能性がある。かも。しれない。どうかな。

・「コンセプトがありそうに思わせて実は何もコンセプトがなく、それぞれの日常景を鑑賞者が自由に関連付けて観ようとする際の意識の動きを浮かび上がらせる試みこそがテーマである」というテーマ設定をしてくる作家もいたりする(実際にいた)ので、本当に写真界は業が深いと思う。

 

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〇安藤氏

<概要>

・大阪の街の中で見つけた混雑、高密度、整列、密集といったイメージを集めている。群衆や商品の陳列といった、平面的かつ反復され続ける光景。

 

<講評>

・ぜひこのまま撮り続けてください。群衆はどうかな、あまり密度がない。広角レンズでは厳しい。やるなら望遠で圧縮効果か。

 

<私の私見

・私が作品制作上、切り落としている都市の光景を、逆に積極的に回収している。

 →商品の陳列=都市を構成する各店舗が、計算高く、最も力を入れて手入れする領域。

 ←都市全体から見ると、偏った部分最適化であり、店の恣意的さが鼻につき、私は撮る気にならない。しかしそれだけを集めたとき、マーケティングや店頭デザインの時代性、消費社会としての都市の姿が浮かび上がってくる。

・つまり大好きってことです。ぎゃはは。

・大阪・梅田にはそれほど人口密度がないので、群衆を濃縮したようなイメージを撮ることにはリアリティがないかな。むしろスカスカな方が正解。

 

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〇田中氏

<概要>

・喫茶店を取材し特集。店の雰囲気及び店主、店員の仕事を一枚で伝える写真を模索中。アポ&ロケハン、店主の仕事が凝縮される「コーヒーを淹れる」シーンを何とか撮ろうとしているところ。

 

<講評>

・喫茶店写真は実はスポーツ写真 =「待ち」の写真

 スポーツはプレイヤーがいつ何処にどう動いてくるかを計算し、待って攻めなくてはならない。カメラで追うと失敗する。喫茶店の店員も同じ。

・「最初の1枚」を超えるのはとても大変。この成功を続けるためには「写真に教えてもらう」ことが必要。苦しんで分析すること。

 

<私の私見

・仕事中の人を撮ることほど難しいものはない(実体験)。そもそも一般の仕事人は撮られることに慣れていないし、環境も大概めちゃくちゃで、構図も露出も背景の処理も考える余裕がない。なのでがんばると力がついて良いことづくめです、がんばりましょう。

 

・写真が全て、マスターのコーヒー淹れポーズだったら、それはそれで変な気がするので、サンドイッチ切ったり客にカップ差し出してるカットがあって全然良いと思う。

 

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激しい1日が終わりました◎

 

 

( ´ - ` ) 濃かったですね。みなさん消化できましたか?

腸捻転など起こさぬようビオフェルミンでも飲みながら作品作ってください。

 

 

(・_・) 私もなんとかせんといかん