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写遊百珍

関西をメインに、美術館・アートイベント、登山、廃墟、珍スポットなど珍奇なものをご紹介。

【ART―写真展】H29.5.5 松田謙一氏「Fragment + Embodiment」@ギャラリー富小路

【ART―写真展】H29.5.5 松田謙一氏「Fragment + Embodiment」@ギャラリー富小路

 

大学時代の写真部の先輩が、個展デビューしはりました。 

 

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中判・モノクロフィルムの底力を見せ付けられたのであった。

 

 

大学時代からとにかく丁寧に取り組むお人で、

 

◎構図が美しい

◎プリントが美しい

◎被写体も美しい

 

後光がさして見えるんですが (パァァ

 

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実際に後光が射すというか、光がふっと現れているような世界です。

 

 

この日は開催初日で、16時からトークセッション。

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茶器など古美術を扱っていそうな外観。GoogleMapがなければぐるぐる迷っていたかもしれません。着いた時にはほぼ満員盛況、ざぶとんやプロジェクタースクリーンを蹴散らしながら座席に。ワインいただいて早々に酔っ払う始末。Aeeeeh.

 

 

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日常の欠片である「Fragment」と、暗がりへ差し込む光の姿―神仏的な存在の兆しの現れ「Embodiment」の2部構成がとられ、それぞれ1階と2階で分けて展示されています。また「Embodiment」の光と影の世界は、写真集としてもまとめられています。

 

 

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松田さん作品の特徴は、旅行や仕事でヨーロッパに渡航する際に、路地や教会など、好きだと思う瞬間の光景をずっと撮りためているということ。日々の仕事帰りに都市景のパーツを蓄積している私とは真逆のアプローチなので面白いところです。

そして、ハッセルブラッドでのモノクロフィルム撮り、自宅現像。デジタル全盛期の現代において、十数年前の写真部の暗室でされていたのと同じことを継続して取り組んでおられる。

 

 

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「好きだから撮る、好きだから焼く」という取組は、昨今のコンセプト重視の写真界において、非常にクラシカルで、珍しいスタイルです。

そうは言いつつ、これまで撮り溜めてきた2千枚以上の写真から、キュレーター、エディターと3者で協議してセレクトを行い、展示構成を練っているので、世界観が一貫しています。

 最大の武器が、構図の強度、プリントの美しさ。誰が見ても確かな「技」があります。ワークショップに参加して焼きの勉強をなさったこともあり、何気ないヨーロッパの街角や、教会で揺らめく光が、像として浮き上がり、眼が吸い寄せられます。聖なる場での「祈り」を写真の眼差しに換えたような世界です。

 

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 トークセッションは、今回のDM、写真集を担当した「松本公房」の松本久木氏(左)と、作家の松田さん(右)とで。 

 

 写真家側の意見と、エディターの意見とが両方聴けて、非常に参考になった会でした。

(以下メモ列挙、順不同 / ◆=松本氏、◎=松田さん) 

 

 

 ◆この個展では、まずは皆に「松田謙一がどういう作家か」を知ってもらわないといけない、という観点で写真を選んでいます。

 

◆最初プリント見た時から大変綺麗だと思った、同時に、これだけピュアな人がいるのかと驚いた。このコンセプトだの何だのという時代に、毒されてない人がいたっていう。邪気がない。

◎特定の作家の影響を受けているとかはないんですが、好きな作家は色々いて、何かしら参考にしたり影響を受けていることはあると思います。

 

◎最初松本さんに言われたことは一生忘れないと思うんですが、「ベタを恐れない写真家だなあ」という言葉で。

◆「ホームラン打ちます」と予告して本当に打つ奴が一番強いんです。プリントはとにかく美しいし、構図もしっかりしている。素晴らしいです。

◆写真を見ていただいたら分かると思いますが、写真には黒いところと白いところがあるけど、真っ黒に潰れているんじゃないんですよ、ちゃんと階調があって、色々なものが見えてくる。

◎やっぱりそのまま焼いたのではこういう仕上がりにはならない。例えばそこの写真だと空が白く飛んでいて、かなりの時間焼き込んでいます。4枚、5枚焼いていってイメージを合わせていく。モノによっては10枚、20枚とか。

 

 

◆今回は写真集を作るにあたって、このプリントに負けないものが作れたかなと思ったんですが、やっぱり改めて見てみると、負けましたね。

◎撮ってプリントするまでのプロセスはともかく、写真集作りのプロセスは正直どうしていいか分からないところで、そこは松本さんという素晴らしい編集者に出会えたのでお任せした。

◆音楽で言うと、撮影っていうのは楽譜を書いている段階と思うんです。写真集にするという段階が、人に伝える、「奏でる」段階。

 

◎印刷の現場に立ち会ってびっくりしましたね、刷り上がりがイメージ少し違っても、こっちは初めてだからどこまで言っていいか分からない、それを僕の表情から松本さんは要望を汲み取って的確に指示出してくれるし、指示を受けて印刷所の人は無言でこっちの要望に精確に応えてくれる、あれは感動的でした。

◆ここもうちょっと「春の風が吹くような感じで」とかね、抽象的な注文を出すと、彼らは応えるんです、一種のプレイですね。彼らに技術で言ってもだめで、技術を超えた抽象的なことを言って、それに技術で応えてもらうというふうにしないと。

 

・・・

 

 

話が尽きませんでした \( ゚、 ゚ )/

 

大幅にcut

 

 

写真集はページ数が少ない分、予算をクオリティに回すことができたため、紙質、インクの乗せ方、表紙の装丁など、自由度高くエディターの思いを実装でき、松本氏は楽しかったようです。「FMスクリーンモザイクのUVインキ刷り」、呪文の詠唱ですね、

 

写真集が本当にハイクオリティで、これで3,600円。安い。買っておいた方がいいと思います。(買った

オリジナルプリントもその場で買えます。「自分が飾りたいと思う写真を作っている」とおっしゃっているとおり、飾れる一品です。(うちの家は最近独居老人の死に場所みたいになっていてどうも難しいので断念しました(死

 

 

<展示は5/14(日)まで>