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写遊百珍

関西をメインに、美術館・アートイベント、登山、廃墟、珍スポットなど珍奇なものをご紹介。

【ART】成安造形大学 卒業制作展・進級制作展2017 @京都市美術館

【ART】成安造形大学 卒業制作展・進級制作展2017 @京都市美術館

 

H29.1/25~1/29の5日間、京都市美術館で開催された、成安造形大学の卒業・進級制作展に、おびえながら足を運んでみました。こわいよー。

 

今、通っている「写真表現大学」の講師陣が、成安造形大学で教鞭をとっておられたこともあるし、何より10歳近く若い世代の、新しい表現をリサーチしたいというあれです。こわいよー。

 

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京都市美術館というと、この味わい深い階段のカーブですが、老朽化の改修工事がそろそろ始まるので、当分見納めですかね。

京都市美術館は老朽化対策の工事費100億円の原資確保のため「名前を売る」手法をとりました。2016年10月に事業者提案の結果、京セラとネーミングライツ契約を締結、50年間・50億円(税別)での売却が決定し、「京都市京セラ美術館」という改名をするそうです。呼びにくいな、

 

そういうことで

色々あるんだが、写真コーナーから見ます。 

 

「写真」は「メディアデザイン領域」の1コースという位置づけ。

出展者は5名の方々。

 

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いずれの方々も非常にしっかりとしたテーマ設定、フォーマットで、堅実に作り込んでいる印象がありました。特に展示の空間の使い方は、基本をしっかりしてはるので、参考になります。

 

 

向かって正面、「撮り鉄を撮る」という特集がありますね。

すごいなー。

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これは面白い。よく見る、社会学系写真ですが、ポップさに舵を切っています。現地調査と分類、そしてインタビュー、テキストをふんだんに用いたプレゼンテーション型展示。写真ならではの訴求力があります。社会現象をリアルタイムに伝えるのに向いている。

作者さん自身が鉄道ファンだけあって、テキストの踏み込みが深く、気持ちが良いです。みんな「鉄好き」だけどみんな違う。

 

 

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着眼点がいいなあ。このメソッドは非常に汎用性の高く、あらゆる取材対象に適用可能です。その分、取材力と編集力が問われると思います。そこをちゃんとやってはった。見やすいし。

 

 

都市景もありますね。

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この方は反射景で攻めてはります。なかなかクールです。現代の都市は構成素材が豊富で、反射とディストーションにあふれ、街歩きがそのまま映像体験のようになっていますね。

ちなみに私の初期の制作構想では、都市の反射景を大量に集める案もありました。やらなくてほんとよかった。だだかぶりになるところでした。誰かがやるよね。そう、都市写真は競合が多く、恐ろしいジャンルでもあります。

  

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 こちらではインスタレーションの趣が。

 

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この方は、ご主人亡き後のお祖母ちゃんを特集されています。

いやあ、同世代あたりに何が起きているのでしょうか。身の回りを振り返り、家族史を私的に編纂する試み。学校が事例を紹介しているのでしょうか。まあ写真メディアの効能の一つとして、過去を遡る力というのはありますので、そうですね、遡りますよね。鮭。

私は眼が歪むぐらい都市のパーツばかり撮っており、愛別離苦や親族を撮ることができない体質なので、みなさん大人だなあと思います。情緒ないねん。

 4枚スクウェアでストーリー化しようとしたのはチャレンジャーだと思いました。卓上にはもっと多い枚数で作られた写真集もあり、照らし合わせると参考になったりしました。 

 

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こちらは旅を通じて自己を彷徨ったり、方向性を見出したりしたと思われるストーリー。

「旅」で合ってるかな。間違っていたらすいません。

客動線が画面向かって右から左なので、それに合わせて展開を考えられたものになっていました。展示サイズを色々変えてリズムを出しておられます。このような空間を活用した「展示」の作り方は、今の私には非常に難しいことなので、見習いたいところです。

この作者さんは、自己の彷徨いのようなものを出しつつも、画面構成や一枚一枚の主役が相当しっかりしているので、たぶんしっかりしたパーソナリティの方だと思いました。

 

個人的経験では、東西南北の把握に難渋するぐらい深く酔った状態で撮影しても、海外で阿呆のようにラリって撮影しても、ひどい失恋等の喪失感でフラフラと撮っても、撮られた写真の文体構造は大して変わらなかったので、写真って自由度が高いようで実際は全然自由じゃないということがあります。ということを思い出す等。

 

 

 あっ都市があるよ。

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 都市景です。驚くほどストレートな夜の都市です。天王寺の中心街における交通インフラ(車道、路面電車)に焦点が当てられているようです。キャプション等がないのでそれ以上は分かりませんが。

昔は私もこのようなストレートな写真を撮っていたことを思い出して懐かしかったです。ここで若い衆の作品を見に来たはずが、懐かしさを感じるという奇妙なねじれに直面します。写真における正規教育がそうさせるのか、都市というフィールドが撮影者をそのように囲い込んでしまうのか、興味深いところです。

 

 

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この作家さんは何段か格が違う方でした。小林桂子さんという作家さんで、杉本博司の『劇場』シリーズ・音楽家版とでも言うべき、演奏時間に応じた露光時間で演奏者を撮影している。静止映像で音楽の流れを表わすというシリーズになっています。 

 

 

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演奏者1人ずつを露光して撮影しており、相当な手間がかかっていると推察されますが、展示点数が多く、並ではない取組姿勢が伺えます。一定のクオリティに基づきつつ「数」を作れるというのは、他者の追随を許さない強さを産み出すと思われます。真似できません。うわあ。

 

 この一角は「グラフィックデザイン」の作家さんのコーナーであるが、

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デザイナーさんの発想を写真コースの方が撮影するというコラボ作品になっていました。このコーナーの世界観が突き抜けて高く、勝ち目がない。幾何学的にもモデル撮影としても美しく素晴らしいので、ずっと居られます。 

ちなみにこちらの撮影をされたのも小林桂子さんで、枚数とクオリティが半端ないです。

 

 

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写真家が個人で写真だけを撮るよりも、デザイナーや編集者と組んで、両者の尖ったスキルをぶつけ合う方が、何段も踏み越えた世界に行ける、ということを示されたように感じました。

 

 

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線や円が、人体の形状そして動きに応じて姿を変えます。

 

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 圧巻です。ドラマチックなライティング撮影。

 

 

 

 更にはこちらもグラフィックデザインの方の作品なれど、

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 撮影は小林桂子氏。

実力が \( ゚q ゚ )/  一人でどこまで

 

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折り紙を着るという展示です。これ自体も面白いのですが、

 

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 折り紙の服を取り巻く写真展示による空間構成が、とてもよい調和を生み出していました。

 

 

( ゚q ゚ ) 汗が出るような思いをしますね。汗が出ました。

 

写真をやる人は、デザインや空間プロデュースなど、写真以外のジャンルを深く理解することで、何倍もの力を発揮できることが出来ることが分かりました。空間とは何だ。

 

他の映像作品なども見てみましょう。

 

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「無人島に何か1つ持っていくなら何にする?」

沖縄県北部の無人島「安田ヶ島」(あだかじま)に作家4名で滞在し、作品制作を行ったものです。写真、フロッタージュ、映像、フォトグラムという面白い試み。 

 

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 フォトグラム。海中を写し取ったように見える。

これいいなあ。

 

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 フォトグラムの解説あざす (/・o・)

 

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 超大きくプロジェクターで動画を映し出すのは空間の支配力があっていいなあ。

 

 

 日本とインドネシアの生活、文化の違いを映像で紹介する作品も、分かりやすく、インターフェイスの触りが良く、面白かったです。

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 やっぱり日本のトイレは狂ったような進化だったのかとか。

 

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インドネシアって手で食べるのかとか。 

 

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 服装の基本も違うのですね。

 

 

スクリーンの前に立つと自動的にヒューマンタイポグラフィとして取り込まれてしまうシステム。わああ

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 文字人間になるぜ。

 

そして アニメーション、CG関連。

 動画を作る人はたいへん凄いと日々思います。1分の尺を作るのにどれだけの手間暇がかかるのかと計算したら心の電卓が火を噴きます。

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 動画のノリ、世界観は、懐かしいものだった。アニメ・マンガ的なものは、教育機関で教えてどうにかなるものではなく、商業的な現場においてでしか消費物としてのカオス、エッジ感を獲得しないものであるようだ。

 

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 といいつつ「Leptin」は最小限の色数で最大限に世界を語っていて、物を食べるシーンの咀嚼音が気持ち悪かったりして、よく出来ていた。日常のいびつさ、不気味さをよく理解しておられて◎

 

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 モンスターとか可愛い女の子とかが絶対に出てくるのは、これは道を歩けば横断歩道や信号機が出てくるのと同じぐらいどうしようもなく記号論なのでどうしようもない。女の子は人類史に刻まれるべき記号だ。

 

 1階、現代アートのフロア。

 

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ファッションのフロア。

 

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 ショーの裏側みたい。間仕切りがないのでかなり雑然とした印象。

 

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この作家さん:谷藤百音氏は無数の粒粒などピースを連ねて衣装としていて、最小限の要素で最大限に世界観を語っていて別格でした。面白い。

 

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 この衣装が面白かった。

 

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住環境、プロダクト方面では、家具類がITと完全に一体になっています。

UIの練りと、日々の暮らしで接するどの家具の、どの面にアプリケーションを載せるかという組み合わせの問題。

 

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 ドレッサーの鏡をスマホのようにして手軽に使う案。実際の生活シーンで、女性がドレッサーに触れる機会がどうなっているのか存じませんが、スマホと鏡の併用は確かに使い方として矛盾している(どっちもは見れない)から、何かできそう。洗面台の鏡とか。 

 

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どうしても一般人の生活にアプリ、IFの面での充実提案を仕掛けていくと、生活がオーバースペックになるというか。スマホだけで手一杯なのに、まだ触らないといけないのか?という感があります。むしろアプリと無縁な乳幼児とかを対象に、例えば夜泣きや深夜の求乳、公共交通機関内でのぐずりを先送りにしたり、躱すようなアプリケーションなり装置なりが出来たらと思いますが、逆に脳や心の成長が先送りになってもいけないので難しいですね。

 

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 こちらは机の天板が、置かれたモノの滞在時間をカウントし表示するという仕組み。

 

 

その他も面白かったですよ。

 

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2階はデザイン、洋画・日本画、マンガ、ゲームデザイン、企業等への提案など、こちらも盛り沢山すぎて手に負えませんでした。

 

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絵画はほんとうに一品一品が大きい。作成も展示も、搬送や保管も、何から何まで大変だなあと実感。この作品はとても上品なダリのようで好きになりました。見たことのない光景。

 

 

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マンガ類の展示は多かったですが、学校における教育の対象ではないなと痛感。全部間延びが激しかった。マンガというのはあまりにも我々庶民が、高度に読者として鍛えられすぎてしまった分野です。よって読者を楽しませるエンターテイメントとして高度に尖っていることが必要で、軍人の世界ですね、教育機関が扱うのには向いていないように感じます。養殖魚をていねいに育てても、天然の身の締まった魚とは別物になってしまうような。

 

逆に、この↓切り口は面白かった。ゲームのコンセプト等を「プロデュース」するという作品。今やクリエイターは企業と協働したり、起業によりサービスを世に提供していく時代。

 

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その他様々な

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刺激◎