写遊百珍

関西をメインに、美術館・アートイベント、登山、廃墟、珍スポットなど珍奇なものをご紹介。

【ART】瀬戸内国際芸術祭2016秋―伊吹島/到着~旧伊吹小学校

【ART】瀬戸内国際芸術祭2016秋―伊吹島/到着~学校跡

 瀬戸芸の時期になりました。夏の部は暑くてしぬとおもったのでパス。たぶんその判断で正解。もう10月だというのに伊吹島は暑かった。

瀬戸芸ですよ。

 そうアートフェスの類は、作品鑑賞を口実に、日頃立ち入る機会のない土地に触れることができるという効果がある。

 

まず伊吹島が何かを知りましょう。

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 なるほどですね。もっと知ろう。

<サイト:せとうち島手帖 より転載>

  ・面積 1.05k㎡ ・周囲 6.2km ・標高 121.5m
 ・人口 640人(H24.12) ・学校数 小学校 中学校 1校
 ・飲食店 なし ・店 3軒 ・宿 2軒
 ・窓口 観音寺市伊吹支所 ☎ 0875-29-2111

 

 

けっこう小規模の島であることがわかった。では参ろう。

観音寺港から約10㎞、船25分で到着。

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こんにちは。

海鳥がいる、私よろこぶ。

 

島は急坂が多く、道は全部だいたい狭く、徒歩でないときびしい。

でもミニな島だから徒歩で十分回れる。わあい、

 

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露出がアンダーなので怒られます。看板ェ。 

道中の町並みとか、坂の風情などは、今回撮ってないので、実際に訪島しておたのしみください。いいかんじですよ。

 

あとイリコが有名で、歩けばイリコに当たります。 

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いりこ。

いわしの煮干しな。ただ伊吹イリコは余所の煮干しなどとは鮮度が全く違うらしい。水揚げから釜揚げまでとても素早く処理するから。この子らは讃岐うどんの出汁に活用される。

 

坂を歩くとめちゃくちゃに暑い。どうかしている。

旧伊吹小学校あたりからまた坂があり、公民館に向かって、篠原薬品さんを

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見ながら坂をあがる。坂ばかりなので訪島者は息が切れていて面白い。

なぜ篠原薬品を撮ったか、私の友人の篠原氏のことを思い出したからです。

しかしこの店は関係ないらしい。ジャーン☆

 

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朝ごはん無しで来てしまったので、もうだめで、

海老のてんぷらを食べました。

海老おいしい。さすが瀬戸内海。しあわせになれます。

 

 

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伊吹公民館あたり。

同時開催中の「あいちトリエンナーレ」との最大の違いが明確に出ている。

見てこれ。瀬戸芸は、瀬戸内海をモチーフにした瀬戸ブルーを至る所に散りばめている。どこを見ても「あー瀬戸芸だー」と自然と実感できる。その拡散ぶりは見事で、離島も都市部も問わず、来島者が立ち寄る可能性のあるところほぼすべてに瀬戸ブルーが配置されている。何か特別なところに来た実感があります。

 

だがあいトレ(略)はそのようなアイデンティティーを示す記号がなく、掲示物がやたら少なかったので、現地で「ほんまにこれやってんの?」と不安になった。どうせなら何かで染めてほしいんだ。染めてほしいんだ。ああ。そめて。

 

泣いていたら作品がでてきました。 

 

みかんぐみ明治大学学生「イリコ庵」

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<解説引用>

「観光客や島民がくつろぐことのできる庵を制作。建築材としてイリコの加工に使うせいろや竹、瓦を使用。島の中心部の憩いの空間」

 

なんかあまりみだりに触ったらあかんかなと思って、遠目に撮影するだけにしてしまった。「美術作品」というレッテルから入るときの、我々のそれらへの関わり方は面白いですね。「よくわからんけど勝手に触ったら怒られるから見るだけにしよう」とか、「何か意味があるに違いない(分からへんけど)」とあれこれ考えることが習慣化していませんか? してるんだよ。

 

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建材がイリコに関係してるとは気付かなかった。そう現地で見て回るだけでは何も分からないことの方が多い。帰りの船便までの間に何をどうしようか?で頭いっぱいになるのが悲しいサガである。それを超えて作品と会話するには・・・。

 

迷路のような路地を抜けて、色々なオブジェクトを撮りながら歩きます。撮ったはいいけど、あまりにとりとめがないので見せ方どうしようかわかりません。存在物すべてが作品。そうすべては作品だったんだ!きつい。

 

めちゃくちゃ暑くて上着とか着てると精神的に参ってきます。脱いだ方がよろしい。遠くの林からニイニイゼミの鳴き声が聴こえたのでこの島にはまだ夏の残り香がある。嬉しい反面きつい。

 

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祠があるね。祠の入口は右を向いているが、鏡は90度ひねってこちらを向いている。大丈夫かな。難しい。

 あっ作品についたよ。

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○アルフレッド&イザベル・アキリザン

「Here,There,Everywhere:Project Another Country -Dap-Pay-」

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ゲリラパラボラって感じだね。かっこいい。

<解説引用>

「島民との交流をベースにローカリズムを取り入れ、島が持つ様々な側面を感じることができるコミュニティの場」

 

なるほど \( ゚q ゚ )/ ヤブカ多い。

 

なんかもう発狂しそうなぐらいヤブカが強い。幸いにも虫除けを貸してくれるが、視力0.5のいけてない私の目でもヤブカが寄ってきてるのが判る。滞在して座しているスタッフさん忍耐すごい。

 

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パラボラの中心部に登って顔を出せる。

 

表札が多い。 

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島民の屋号だったのだ。苗字だと同一性がやたら多いというのも地方・離島の特徴で、一軒一軒の屋敷に付けられた名称=屋号のほうが個々人のイエを表わすものだそう。歩くと判るが伊吹島は「三好」性がめちゃくちゃ多い。みよしさん天国。

 

 

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 島と外界で情報を送受信するアンテナ。いりこを並べる網。

現地にあるもの、日常の品を組み合わせて、大掛かりな「見立て」を行う。発想がおもしろい。「ごっこ遊び」の超強力版。空想を刺激することの効果。

 

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こちらは船の名前。

かわいい。

 

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竹材どっさり。肉体労働の側面もある。「アーティスト」って、紙とペンあるいは映像投影でチャチャッとクリエイティブ&おしゃれなものを繰り出す天才、みたいな印象が世に根強いですが、コンセプト練りからプレゼンから人集めから重機操縦からトンカチ仕事から全部引き受けるというウルトラ工務店とイメージしたほうが実体に近いかも。

 

 

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ゆかいなのぼりも立ってますね。

 

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祠があったので「我に力を与えよ」と不遜な祈願を重ねる。

食いつけ神。我に食いつけ。

ヤブカどころかノミまで食いついてきました。発狂します。鬼か。 

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 無事に発狂したところで散策再開、実際、アート作品もいいんだけれども、その場にあるブツも存在感が強く、無名のオブジェとしての力をもりもり出しています。

 

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メタル天狗のごとき瓦の突端がやばい。

 

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路傍にこれ置いたやつwww 赤い道化 

 

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こういう路地が無数に入り組んでいて、慣れないうちは容易に迷子になる。なったよ。

独特の路地です。猫もしばしば登場。

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無朝食で歩き回ると精神力がもちません。

港からすぐの「ヤムヤム」で10時の飯をします。

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いりこめしをします。

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やさしい味でした。ほんのりする。

おにぎりで歩きながら食べるの良いかも。

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そういうわけで旧伊吹小学校に来た。来る順序がめちゃくちゃなのは散策がはげしいためです。

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便所も作品だから油断しないように。

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○石井大五「トイレの家」

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<解説引用>

「どこにもないトイレを建ててほしいという島民の想いを作品に。時間帯によりスリットから差し込む光の影が変化し、島の路地を連想させる。」

 

2013年瀬戸芸の時の作品が今も生きている。今後こうして徐々に歴史が積み重なっていくと良いなと思う。島とか島民と対話の結果として生まれたものが、イベントの度に撤去されるのは残念だから。なんかさんざんやったあとに島が「祭の後」化してしまうのもね。万博的発想は。どうかなと。瞬間最大風速だけが勝負のイベントと、瀬戸芸は、異なると思うし、実際そういう考えがあるからこうして残ってるんだとも思う。勿論耐久性の問題もありますが。

 

お気に入りの光を求めて何度も排泄しに行きましょう。

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学校に入るよ。

こちらの期待を裏切らない、レトロ雰囲気。

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じわじわきますね。あまりにセンスがよすぎる。 

 

伊吹島のメイン作品きました。

 

○豊福亮+Chiba Art School「沈まぬ船」

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<解説引用>

「島の人や観音寺市内の小中学生らとともに作った約6万個の浮きを使い、魚の群れをイメージした作品。」

 

はんぱじゃねえぞ( ゚q ゚ ) これすごい

 

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うおおおおねじれてるううう うねりいいい

 

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人が混じってます\( ゚q ゚ )/

 

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クジラとかイチゴとか中にはもう文字で済ませた人とか

 

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船とも海洋生物ともつかぬやつが

 

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縦横無尽にざっぱーん うねり ひねもすのたり

のたりかなザブーン

 

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ずああああ。

 

正直、思ってたよりも規模が大きく、鑑賞者も「・・・すごいなあ」「・・・これはすごい」と嘆息。「量は質を凌駕する」という、我々は呑まれた in  the 空想海中。ここちよいね。空想世界にいってしまうことの浮遊感。これだよ。此処なのにここではない感じ。

何よりやはり作者のセンスが光っていて、網のねじりや広げ方のリズム、遠近感がとても心地よかった。素晴らしいうねり。海とか波の映像論を科学的に理解している証拠だとわかった。私はうなった。

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○コンタクト・ゴンゾ「伊吹島ドリフト伝説」

<解説引用>

「作家の目を通じて、島の路地を舞台にレースゲームを制作。原付で移動する島の日常をフィジカルにリミックス。」

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この展示は超おもしろい。ぶっちぎりでキレている。

先述の「沈まぬ船」が表のスターなら、コンタクト・ゴンゾは闇の輝きを放つアングラのスター。

 

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どういうことだ。まさか

 

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まじもんでゲーム化しとるwww 監獄みたいだしwww

イワシに乗ってるwww

 

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操作は島民お馴染みのスーパーカブで行う。

1プレイヤー10分制のため、数人並んだだけで異様な待ち時間になってしまう点が難点だが、操作感を掴むだけで皆、相当必死だったので、プレイの観点からは足りないぐらい。バイク運転に慣れた人ならまだ勝機はあるか・・・?

 

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ホラーだ。

伊吹島の港からスタートし、北上して島を縦断していくが、おどろおどろしい色調で探検感がある。加速によりコーナーリングの制御がすぐ失敗するようでプレイヤーが悪戦苦闘。

 

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ゲームオーバー画面\(^o^)/ 空から落ちてくるイリコと作家。

こういう人大好き。

 

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オープニングに使われる画像はかつての伊吹島で、バイクが持ち込まれた当時のもの。民俗資料館でも目にする写真です。

 

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マシン選択の画面も色々いかれている。最高だ。 

アートは良識とか学術性も突破するものでないといけない。高度なキレとカオスが人々にゆたかなものをもたらす。

ただしこの「Haco」(いりこの段ボール箱)は他マシンに比べ相当操作が難しいようで、プレイヤーが初手から苦しんでいた。壁に激突した際の処理:一旦アクセルを切って壁から引いてから軌道修正するコツが皆わからないらしく、中でもHacoはアップ画面になった際に前後左右が分からなくなり、処理に混乱をもたらしていた。カオスだった。

 

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みかんぐみ+岡昇平+神奈川大学曽我部研究室

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瀬戸芸2013年展示「伊吹しまづくりラボ」の伊吹島模型が、場所を変えて再展示。やったね。

 

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コアな地元民の情報フラグがたのしい。

 

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Oh. それはすごい。

 

 

伊吹島の展示はこれだけではない。次回につづく。

 

つづく(かな?)