写遊百珍

関西をメインに、美術館・アートイベント、登山、廃墟、珍スポットなど珍奇なものをご紹介。

【ART―写真展】KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2015(後編:ASPHODEL、祇園新橋、村上重ビル)

【ART―写真展】KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2015(後編:ASPHODEL、祇園新橋、村上重ビル)

 

ラストいきます

<前編はこちら>

<中編>

 

最終話ではNo.11~15をレビュー。 祇園~四条に集中。

 

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<11 ASPHODEL> (アスフォデル)

 オリバー・ジーバー《イマジナリー・クラブ》

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asphodelus(アスフォデルス)というのはギリシャ神話では天国又は冥府の奥深くに咲く花で枯れないそうだ。実態はユリ科スイセンの一種で、白い花が房状となって咲く。

 

クールなギャラリースペースビルに相応しい、キレのある写真。

No.8で登場した山谷佑介と同様にclub、スケボー、パンクに代表されるストリートカルチャーを題材としているが、山谷氏のそれが作者本人の私小説的な作品群だったのに対し、オリバー・ジーバーは真逆で、個人の情感・思い入れを排した客観的収集と分析に徹している。

 

 

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この一枚からは、No.9のヨシダキミコ調の、尖ったファッション誌のような世界観を想像したが…

 

 

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ご覧の通りの博物学

拉致被害者の一覧のような濃ゆい状況。(説明抜きでこれを見せられたら深読みの末に、アフガニスタンイラク派兵で犠牲になった人の一覧ではないかと勘繰るかもしれない。)

ベルント&ヘラ・ベッヒャーを想起したのは私だけではあるまい。給水塔と人間の違いだけです。そういうことを言い始めるとアウグスト・ザンダーか…。

 

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カルチャーの実態とはファッションの記号、分類学にあると思う。各々の個人が主張するアイデンティティーというのは生の個人の訴えではなく、むしろハマれる小規模集団の選択と帰属であり、その手続きを行う際にプロトコルにファッションという情報の型(仕様)の通信が不可欠である。よって事例の数を集めて並べると、そこには奇妙なほど律儀な共通性が浮かび上がる。ピアスやタトゥーは良い例です。

 

個人的な話をすると私などは「自分」というものに疲れているとともに、それを突き抜けて「やりたいこと」が無数にあり、その質量ゆえにある具体的な集団への帰属を望む暇がなかった、或いは、どの具体的な集団に対しても不信感や反感を抱いていたので、どこにも帰属しなくて済む玉虫色の姿を選んだというところです。誰からも判断、評価されたくないという心境 それも就活を機にズタボロにされましたが。ウフ

 

 

<12 祇園新橋 伝統的建造物>(パスザバトン京都祇園店/2015夏OPEN予定)

 フォスコ・マライーニ《海女の島:ルガノ文化博物館コレクション》

 

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祇園を流れる白川沿いに建つ物件。白川は両岸を桜、柳、町家が連なり、祇園の中の祇園と言っても過言ではない。その中でもこの物件は王である。祇園王に相応しい良物件。 

 

 

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入ると中庭のライトアップが痺れる。2014年に所有者が京都市に寄贈したというから驚きだ。2015年今年の夏からはセレクト・リサイクルショップ「PASS THE BATON」がオープンする。 

 

 

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 展示はなんと日本の海女である。

フォスコ・マライーニは写真家にとどまらず人類学者、東洋学者、登山家等多くの顔を持つ。1939年(27歳)で来日し、アイヌ研究を行ったり京大で教鞭を執るなどがっつり日本文化に分け入るが、1954年からは能登半島の北方にある舳倉島(へぐらじま)、御厨島(みくりやじま)で海女の写真に取り組む。

 

凄い人である。私は常人よりも旅好きの部類だが、それでも舳倉島、御厨島などという存在は知らなかった。調べてみると舳倉島は輪島沖から北へ50㎞、周囲4kmほどという絶海の孤島である。当時はGoogle先生もなくNAVAR先生もなく、どうやってこの無名の孤島で裸一貫の娘さんおっ母さんが素潜り漁をしているなどという情報を得たのであろうか。

 

 

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とにかく海女の若さと日に焼けた体は健康的で素晴らしかった。乳を出して、頭に白い手ぬぐいを巻き、大きな木たらいを片手に岩礁を歩く海女たち。よくぞここまで信頼関係を築いたものだと感嘆した。写真における最大の困難は、素の姿を撮らせてもらえるところまで関係が構築できるかどうかという点であり、技術や感性などは実はその次に来るものです。ふう 

 

 

<13 SferaExhibition>(スフェラ エキシビジョン)

 ルイ・ジャム《チェルノブイリ

 

\(^o^)/見ていない。

 

この展示が日本初個展だったという。

1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故から数年後の1990~91年の撮影。周囲30㎞の汚染地域「ゾーン」に居住していた子供たちや、廃炉や除染のために働いた作業者たちを撮った写真である。私たちの日本もそのうちそのような語られ方をするのだと思う。だが私たちは理不尽な電気料金の値上げに怒ることでわだかまりに折り合いをつけ、サヨクのデモに眉を顰めながら、複雑なことを考えないようにして毎日を生きています。 

 

 

<14 村上重ビル 地下>(むらかみじゅうビル)

 ボードワン・ムアンダ《コンゴの紳士たち、「サプール」の美学》

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村上重ビルは宿泊施設、飲食店、そして地下がギャラリー・イベントスペースとなっていて、普段は立ち寄らない場所だったので面白く拝見せり。

 

高瀬川は清流で、ぼんやり眺めていても好いものです。

 

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ポストカードより。

展示はサプール。ギラッと光るファッションの美学。ネット上でも話題になったことがあったので少々知っていました。コンゴの治安、歴史の事情や経済状況を鑑みるとこの派手でしゅっとしたスタイルが実に凄い傾奇者であるか思い知る。アフリカの前田慶二だ。武将は世界に遍在します。

 

ネット記事を見ていただいた方が盛り上がりはつかみやすいかと。

 

 

 

見た目の格好だけではだめで、精神性が肝要であるという点は重要です。

ちなみに展示は写真ではなく、スライドショー式の映像。プリントも見てみたかった。

 

 

<15 廣誠院>(こうせいいん)

 アヴォイスカ・ヴァン・デル・モレン《Seauester in Collotypes》

 

 

 \(^o^)/見てない

 

サーセン

 

1日、2日で15カ所も回るのは狂気の沙汰です。。ヨシダキミコとロジャー・バレンは中毒性が高いので複数回観る羽目になるし…

 

関西にも東京都写真美術館のような、写真に特化した優れた施設、展示機会があれば・・・・・・・・あれば・・・・・・切望します。あれば、人生の重要な部分が感化されて変化する気がします。\(^o^)/