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写遊百珍

関西をメインに、美術館・アートイベント、登山、廃墟、珍スポットなど珍奇なものをご紹介。

光の教会

2011.7.10
池ちゃんと吹田の「光の教会」に行ってきました。


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小さな庭に、メタリックの十字架が寝ている。





安藤忠雄建築シリーズで名高く、光が十字架の形に切り込んでくる例のアレだとすぐ皆さんも思いつくことでしょう。
しかし、いかんせん、教会。
一般開放しているのかどうか? 礼拝等で、信者さんが真剣に集まる場なのでは。
天保山サントリーミュージアムのように、いちげんさんが、ほいほい入れるものだろうか。それが懸念事項でした。


調べてみたら、礼拝に参加する、という形で、一般の見学者もOKとのこと。
\(^o^)/ キタコレ。


キリスト教の中でも、この宗派はどちらさんなのか?
というと、「日本基督教団」茨木支部でした。
ちなみにこの日本基督教団は、国内のプロテスタント33会派が合同して立ち上げた組織であり、「公会主義」すなわち「いかなるキリスト教の教派にも属さない」という、世にも稀な立場をとっています。


礼拝は日曜の朝10時半から、約1時間とのこと。
基本的に真面目な礼拝のため、ホームページにもしっかりと
「遅れますと、お入りいただけません。 10時15分までにおいでいただき受付を済ませてください。 10時20分にはオルガンが奏されますので、前から詰めてお座りください。パイプオルガンが10分前から演奏をはじめます。」
とのことで、気合いが入ります。



そして立地が思いっきり住宅街の中で、探しながら歩きました。あつくて溶けそうでした。




とか言いながら車中からしてモノレールで太陽の塔が拝めるので楽しい。
大阪の民にとって地母神ですので。


念のため9:45にモノレール阪大病院前の駅改札で待ち合わせ。
早速、本当に何の変哲もない住宅街に放り込まれるため、地図読解の力が問われる。



素晴らしき住宅街。
どれもきっと高価なのだろう。2千万円じゃきっと買えないよね。
あっ。教会の看板発見。




十字架が見えた!
ガラス張りのようになっていてよくわかる。


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結核予防会のマークに似ていなくもない。
しかし安藤忠雄の存在感を嫌でも感じる。コンクリートのひんやり感が外側から伝わってきます。


入ると早速声を掛けられ、「初めての方ですか?」「見学の方ですか?」と誘導される。
大部屋でまず名前や住所を書き、簡単に礼拝の流れについて説明を受ける。
そして今日読み上げられるところに栞の入った讃美歌の本や聖書を渡される。さすが、見学客慣れしている。
また、礼拝の途中にお布施を回収して回るので、それを入れる封筒も渡される。
まあ美術館の見学料と考えれば相場は千円ぐらいか?とか思いつつ。


ようやく教会内部に通される。おお、当たり前だが冷や冷やのコンクリートだ! ただし内部は暑い。




本格的な撮影については礼拝終了後に自由にどうぞということで、
しばし茶を飲んだりあれやこれや。



木の机がいい味を出している。


高校時代がカトリックだったので聖書はちょこちょこ読む機会があったが興味がなく、すっかり忘れていた。今見ると、とにかく体制に対して反抗的で、非常に戦闘的であることが分かった。


王とか官の言うことに黙って従うな、例え迫害されても声を発し、町という町で発言し、ゲリラライブしろという煽りが随所に見受けられる。恐れるな、敢然と真実を語れ、されば町のすべてが味方となり、恐れるは相手方となる…といったことが書き連ねてある。「危なそうなら退け」とかは書いていない。やれ!言え!発語せよ!なのだ。西欧人にとって発話せずアピールのない者とはそこに存在しない者にも等しい、という感覚らしいが、その意味が非常に解った気がする。



肝心の教えの内容は全く以て忘れたが、不屈の精神で戦っても良いのだということはさんざんに肯定してもらえたので気持がよい。
礼拝の終わりには「今日は日本全国、海外から新しい仲間の方が来られました…」と、開始前に受付で渡した氏名と出身地のリスト読み上げがあった。東京など関西外からの人だけでなく、韓国やなんやら(忘れた、)海外勢も多く、非常に活況を呈していた。


礼拝が終わり、うどんが振舞われるという。
地元の信者の方々は引き揚げるが、見学客、特に建築目当てで来た人間にとっては、ここからが勝負である。



十字の採光窓は無色だが、青っぽい光を帯びていた。


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オルガン。

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オルガンつまみ。



光の教会とはよく言ったものだ。
非常に大胆で美しい建築。
すぐ出来そうで、なかなかここまで踏み込めないだろう。

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静寂の中で。



安藤忠雄らしさ=コンクリート
ここでもがちがちにコンクリート



聖書の栞が重厚で美しい。


祈るようにして表現なる行為が出来たらいいんですけれども。今はまだ修羅の心持ちですなあ。
我欲と憤りと欲情だけで疾走しています。
祈りの境地は難しい。



はち。


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古風な椅子には注目しておくべき。
RPGで見たような味わい深いやつです。


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光の十字に接近してみた。もしかしたら吹きぬけかも、と長年思ってきたが、当然のようにアクリルか何かが入っていた。
安藤忠雄ならば空間のスリットをうまく使うから、何も入れていないのではと思ってしまう。



祈るほどの心など持ち合わせてございませんが、祈って何かがどうかなるなら
祈るのもまた良いかと思いました。
( ー_ー)凸”


工 期 1988年5月〜1989年4月。
バブルの頃ですね。日経新聞私の履歴書」で当時のプロジェクトがいかに困難に満ちていたかが簡潔に語られていた。
余裕綽々で建てたのかと思っていたが、当時は大規模事業に土建屋が奔走していた頃。
採算が取れるかどうか分からないような小さな案件のために人を割いてくれる会社がなく、本当に大変だったようだ。


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流麗ですらりと涼やか。
しかし中は暑い。到底そうは見えない安藤マジックですが暑い。
ここだけ見せたら兵庫県立美術館とも直島ともなんとでも言えそうですが。


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机の焼き加減が見事です。



太陽よ。
じゅう。


内部の撮影に2〜30分かけて粘り強く探索しました。
7〜80人程度が入る礼拝堂なので大きくはありません。が、やはり特別なテンションのある空間です。
これで太陽の方角や傾きが変わればどんな表情の変化を見せることでしょうか。


受付をしたフロアに戻って聖書を返却。

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丸太十字とは小粋な。


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これです。これ。
日経新聞に連載していた安藤忠雄の「私の履歴書」。


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礼拝堂と受付・本部との間は、狭い空間ながら、安藤忠雄そのもの。
この縦のラインの入り方ときたら、そそる。


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安藤忠雄の建築は非常にスタイリッシュで構造美を堪能できるだけではなく、遊びが過分にある。
小さい頃に、何もない部屋だの空き地だのについたてや棒などを置いて、自分なりに間仕切りをし、
文字通り「空」「間」を何かの質量や属性の伴った世界に作り変えようと試みた経験を持つ人は少なくないのでは。
そうした、面白い新秩序による撹乱を感じる。
この先がどうなっているのかを、歩を進めて確認したくなってしまうのだ。



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包囲された!



周囲を囲っていた平凡な植木さえもが美しい。
石段の先に出会いが。日常を改変するこの試みこそ、建築の真価だと思う。


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そして安藤忠雄の見せどころ、ガラス。
コンクリート、スリット、ガラス。
透明感と空間の混線に輪をかけて、反射で更に入りくんだ空間の折り重なりが生まれる。




こんにちは。十字架です。


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真夏にアイスをむさぼる子のように、この涼やかな石の空間を堪能しました。
がっつりやらないともったいないです。

しかし本当に見る角度によって空間の見え方がどんどん変容する。
凄いことです。


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十字。




80年代後期にこれを思いついて実現している人がいたことに驚く。
当時のセンスときたら…。



反射した世界の中から歩んでやってくる者・・・



私の祈りは報われたのか否かよく分かりませんが、祈ることでこの空間と時間を与えてもらえたかと思うと
非常に有意義でした。


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しかし世界は灼熱に覆われ、閑静な住宅街は強すぎる太陽の下で
暗黒の深き影を色濃く落としていた。アビスよ。
そんな真夏の叫び声が私は大好きだ。しかし汗が止まりません。しぬ。



住宅街を抜けて、モノレールへ。
この後、万博公園太陽の塔を崇拝しに行きます。


( /・o ・)つづく。