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写遊百珍

関西をメインに、美術館・アートイベント、登山、廃墟、珍スポットなど珍奇なものをご紹介。

【東日本大震災】野田〜平井賀

2011 GW 【東日本大震災】野田〜平井賀

宮古港 http://d.hatena.ne.jp/MAREOSIEV/20110429


久慈を朝の6時前に発った。
被災地の現場に自衛隊やボランティアが作業に入ると、私のような部外者は邪魔になる。
もしも状況を見せてもらうなら早いに越したことはない。
開通したとは言え、仮縫いのような交通網で、一般車がウロウロしているのも、物資運搬の妨げになる。
車道の電光掲示板では常に「緊急車両が優先」「一般車は沿岸部を避けてください」と。



久慈は普通にくつろげる、ゆったりとした空気の流れがあった。


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東北を包む、悠久の時の流れ。
ゆらりとした風情。ローカル線と海と山脈と田園。


好きだなあ。
関西から近ければもっと行ってます。




しかし、
現実は甘くなかった。



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野田村。



昨夜、久慈の居酒屋で食事を取っている際に、地元のおとっつあんらが交わしていた会話。
「野田の方は壊滅しとる」「まだまだ避難所だよ」「仮設も建たん、遅いんだよな国も県も市も」


久慈から国道45号線で2〜30分もすれば現れる、広大な、フラットな地形は
一つの町がまるごと壊滅した跡だった。
確かに、昨夜真っ暗な中で、やけに暗闇の容積の大きな一帯があるなとは思っていた。
これかよ・・・。



思わず車を停めた。


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心の折れる光景だった。
遠くで白く上がるのは煙ではなく、朝霧。



被害状況が、野田村のホームページに掲載されています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・死亡者   37人(うち村民28人)
・行方不明者 0人
家屋の被害
・全壊 308棟 ・大規模半壊 135棟
・半壊 33棟 ・一部破損  26棟
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(引用元;野田村ホームページ
 http://www.vill.noda.iwate.jp/ )


津波被害のレポートなど読むことができます。
仮設住宅の建設も進んでいるようです。
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町が消失したも同然の壊滅状況で、この死亡者で済んだあたり、地震津波=高台へ避難! という日々の意識付けがあったからだと察せられます。


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何が何やら判別できかねる。


私と同じく、車を脇へ停める中年男性がおり、町の様子を見ていた。
話してみると、浜松から来て、被災地方面に住む親戚を訪ねがてら、状況を見に来たのだという。
「私の家も沿岸部で、すぐそこが海なんです。この町と同じですわ。怖いですよ。こうなるのかと思うと」


せめて何かを参考に、とは思うが、ここまでの破壊では、参考になるのは「高台へすぐ逃げろ!」というシンプルな教訓だけである。


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ここでも自衛隊や警察、土木技術者の撤去レベルに驚かされる。感動というか、救いに思える。
一本の道をキチッと通れるようにすることで、車が入れ、大掛かりな作業が進められる。
危険な釘や金具などが全く落ちておらず、レベルの高さを知った。


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一人、犬の散歩に来ている人がいたぐらいで、まだ誰とも会わなかった。
もっとも、早朝では、地元の人はまだ避難所で寝ているだろう。


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家が、基礎を残してどっか行ってしまうという、前代未聞の光景が広がる。
これから建てるという話ではなくて、そこにあった家が、無いのである。
無茶言うな。



木々はしぶとい。
これからの沿岸部家屋については、基礎を樹木の根のように構築する技術があっていいかもしれない。
これは壊滅した荒浜地区を見たときにも感じたこと。
樹木の根は今回の大津波にも耐え得るという事実が興味深かった。


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目印になる建築物が全部流されていて、自分がどこをどう歩いているのか不明。
スマイル・・・お前の本体はどこ行ったんだい。


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地平線が綺麗に見渡せるという、悪夢。


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持ち主を待ち続ける醤油や湯呑み。



人間は本人の魂(精神)によってではなく、かれの所有物によって規定されるのだという論をどこかで読んだことがあるが、思わず頷かされる。
全てを失って、自己すらも不確かとなったときには、どんな些細なものでも良いから、何か具体的な日常の品々によって、自分を取り戻したり補強しようと必死になるのだと学んだ。



モノそのものに妙に人格とか人柄のようなものを感じてしまうのは、こうしてコアな被災地に空手で立ち入った私自身が既に、内面が不安定になってきている証拠なのかも知れない。


迂闊に長い時間、目的や口実もなく、破壊の現場に立ち入っていると、実はPTSD的にもよろしくないらしい。


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見慣れてきているはずなのだが慣れない。


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理不尽な力( >_<)
もうちょっと人の役に立つような津波って無いのか。


10M超の津波は防波堤を乗り越えて町へ押し寄せたというが、第1波で防波堤にヒビが入り、即座に続けてやって来た第2波が防波堤を破壊。更に第3波が来たのだという。


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施設不明。
保育所などがあったらしいが・・・地図のどこにあたるのか判明せず。


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何がなんやら


沿岸部については、


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木々の列があったはずだが。



野田村の象徴とも言える愛宕山の大きな鳥居。
震災直後は鳥居の足もとまでガレキで埋まっていたようだ。
このスマートな姿に、復興への力を感じた。


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壊滅はしているが、急性期の状態(遺体確認や道路確保)を脱して、安定的に復旧作業をこつこつ行う段階に来ているのだろう。


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再生にはとても長い時間がかかると思われるが…。


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一応、車窓からはこのような感じに。


基本スタンスとして「安易な撮影はしない」「現場の邪魔にならない」「なるべく身を晒して現場と向き合う」があるので、都度、降りてしばらく歩き回りながら状況把握をしています。


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堤防が残ってたり欠けていたり。
波の力がそこまで強いのかと、現場にいてもまだ実感できない。


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沿岸部。


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単に堤防を高くすれば良いという問題ではないですね。


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国道45号線。
本来は三陸鉄道北リアス線」が並走しているのだが・・・



宮古市から久慈へ北上するまでの間に、田老という町も通り掛かったが、そこの被害も甚大であった。なので、気になっていたため、一気に南下。


すると、田野畑村あたりで沿岸部への分岐道が。
そんな地名は聞いたことがない。
(私がこの1カ月半ほどでTwitter等を含むメディアから得た「被災地」なる地名は、宮古市南三陸町陸前高田気仙沼といった、超メジャー級程度であった)


しかし沿岸部であれば、メディアに注目されていないだけで、被災しているのではないかと考えて、ハンドルを切った。
その通りだった。


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田野畑駅〜羅賀の町あたり。ガレキ撤去が済んだのか、整然としていた。
避難所を指し示す看板を見た。
気動車が見えるが、あれは津波で流されたのではない。
平井賀川の水門上部に据え付けられた事務所のようなもので、珍景のたぐいである。

しかしドキッとした。。。



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規模が小さいがために話題に上りにくいが、やはり全滅に近い壊滅状態。
土台の残っている建物についての詳細は不明。


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少し高台の家屋は被害を免れていた。



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珍景としてマイナーながら注目を浴びていたであろうのに。
今となっては被災の傷跡と紛らわしい限りだ。


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地味にあちこち破損していて、しっかり被災していたが。


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施設不明。
土台も土台しか残っていない。




凄まじい状態だった。
社会人なら何でも具体的に数字で考え、数字で報告をと新人時代に言われたが、数字の及ばぬ領域もあり、思考停止もいいところであった。ふがいない。


ただただ、被災された方々が健やかに過ごされていることをお祈り申し上げます。

つづく。

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【捕捉】
私が体感的に「無事」と書いた久慈市であるが、内陸となっている中心街を夜中に歩いたせいもあって、実態を理解していませんでした。


久慈市の港のあたりはやはり被災していて、
久慈市役所ホームページでは被害状況が確認できます。


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<被害状況把握:2011年4月29日(金) 17:00現在>
 ◇人的被害:死亡4名、行方不明2名、重傷1名、軽傷7名
 ◇家屋被害:全壊292棟、大規模半壊87棟、半壊370棟、一部損壊222棟、計971棟
 ◇家屋被害金額:37億5千万円余
 ◇公共施設・民間施設被害:255億9千万円余
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(引用;久慈市役所
 http://www2.city.kuji.iwate.jp/site1n/mysite2011/HTML/index.html )


億単位…。