写遊百珍

関西をメインに、美術館・アートイベント、登山、廃墟、珍スポットなど珍奇なものをご紹介。

【登山】(雪山)木曽駒ヶ岳・千畳敷カール

2011.2.13】(雪山)木曽駒ヶ岳千畳敷カール


山の豹変は、女のそれに似ている。
違いがあるとすれば、女よりも、下手をすると美しくて白いということだ。


ここは中央アルプス木曽駒ヶ岳千畳敷カール。



新緑も、燃えるような紅葉も非常に美しく、絶景として愛されている。
何より利便性が半端ではなく、麓の駒ヶ根の町からバスとロープウェーで乗り継ぎ、
一気に標高2,650mまで苦労なくたどり着くことができる。

そして冬は一変し、雪崩で人を容易に殺める山と化す。
(実際に、95年、08年に雪崩事故が起きている。)


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私にとってはほぼ初の雪山だが、アクセスがとてつもなく容易であり、
安全に引き返すことがいつでも出来る、人の目がある等の好条件から、
「深入りしない」ことを厳守したうえで、千畳敷カールが最適と判断した次第である。


今回は積雪が多すぎたためバスが「菅の台バスセンター」から先に進むことができず、実に11時まで待機した。


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11:38、ロープウェイ「しらび平」駅に到着。
標高1,662mで、雪はまあまあ。この程度なら楽勝なのだが…。
千mも上がればどうせロクでもない地獄と化しているだろう。地獄大杉。

帰りの高速バスに間に合うようにするには、どう歩くかを必死で考える。
(*_*)ふー。


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お、皆様に愛されてて、おめでとうございます。。

極端に乗客がいないまま、千畳敷へ向けてGo.
真冬の千畳敷なんて相当な好き者しか行かないぞwww

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美しい光景が続いている。
そんな年齢でもないのにやたら胸が高鳴り、身構える。
師匠は都合で先に帰った。おれ一人で何とかするのだ。
ドキドキ。


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雪と戦う人々。
(*゜ー゜)ノ かっけえ。


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かなりの人数。
前日は丸一日、バスが動いていなかったので、宿泊組は皆、千畳敷ホテルで延泊を強いられたのではないか。
あるいは私より1便早く上に辿り着いた観光客か。


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12:00、千畳敷駅。
素晴らしい晴天で、心の陰りも拭われていく・・・などと気取る余裕は全く無かった。
眩しい。
こあっ(+_+)゛

超まぶしい。。。


これが雪山の脅威の一つか!
目を開けていられないぐらい眩しい。師匠からサングラスを借りておいて本当に良かった。


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千畳敷カール。
別世界だ。こわい。
風が吹き抜ける寂寞とした音しか感じない。
先行者のトレースがあるのが救いに思われた。一人じゃどうしようもない。


とりあえず役に立つか分からないが、アイゼンを履いた。
防寒装備は完璧だが、マイナス十数度あるらしい。じっとしていると寒い。

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進路に迷ったので、まずはトレースの付いている間近のルートを登ってみた。
駒ヶ根神社を回り込んで、「サギタルの頭」を目指してみる。


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・・・静かだ。
ちょっと静かすぎる。誰かとしょうもない卑猥なことなどを言いながら登る方が良かった。
ただでさえ、出発前にさんざん「雪崩のリスク」とか「冬山遭難」といった教本を読んできたのだ。恐怖は倍増する。

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13:12、サギタルの頭の下あたり。
1時間近くかかってしまった。一人のラッセルは苦しい。

サギタルの頭・本体は厳しい岩山になっていて、急峻な崖のような斜面を登ることになる。
当然、そんな装備も技術もないので、ここで撤退。
ザイルかつダブルアックスで挑むようなところだ。さよなら。さよなら。

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登ってくると風がかなり吹いてくる。
ビュウウウウ、ビュウウウウ。
この音は人を不安にさせる。雪山は本能的な恐怖を煽るらしい。
ひい。


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千畳敷ホテルの、人工的な色を見るとホッとする。
「ここは雪崩がいつ起きてもおかしくない」などという話を聞かされてきたので、やたら心理的にダメージが積もる。
必死になって前進したつもりが、カールのスケールからするとほとんど進んでいないことも堪える。一人のラッセルは苦しい。


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駒ヶ根の町と、甲斐駒ケ岳北岳の連なりが見える。
すごい町だ。木曽駒と甲斐駒に囲まれ、封じられた土地だ。
などと感心している場合ではない。アイゼンほどけて外れたぞ。
アエーー( >_<)

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13:30、スタート地点に引き返してルート再考。
大阪へ戻る高速バスの時間を考えると、15時までには下りのロープウェイに乗らねばならない。
あまり遠出はできないので非常に中途半端な雪歩きになる・・・どうするか。


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ほとんどのものが埋まっている。
ラッセルに喘ぎながら気付いたが、夏か秋かに一度来てから厳冬期をチャレンジすればよかった。
まるで何がどうなっているのかわからない。

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先行者が途中まで歩いた跡がある。
トレースを辿るのは非常に楽だ。最初は「おれは雪山でおのれを鍛えるんや」と意気込んでいたが、だんだん真剣に疲れてきて「トレース。、トレース、トレースないんかトレース」とヤク中のように足跡を求めていた。疲労は人の本性を明らかにするものである。

トロール的にカールを見ていた係員に聞くと、ラッセル体験コースで歩いた跡だということ。
また、ここ数日間でかなり雪が降ったため、いつ雪崩になってもおかしくはないとのこと。


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見渡す限りが白い。
千畳敷カールから向こう側、宝剣山荘へ抜ける真正面の正攻法ルート(八丁坂)を取りたいが、
両脇から雪崩に襲われそうな、いかにもな構造がどうも怖かったため、
異常な回り道をした次第。

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しかし半端ではない美しさだ。
道なき白に刻まれていく、自分の辿った道。
こんな世界があったのか。ハァハァしながら振り返りまた歩く。
ハァハァ ←けっこうしんどい。


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先行者が下りてきた。
八丁坂にトレースはついていなかったが、もしかして乗越浄土からぐるっと回ってきたのか?
パーティ。いいな。
一人は辛い。
恐怖もラッセルも全部抱えて息を切らす。
ちんたら登っていたら雪崩に襲われるぞという強迫観念めいたものがあったので、ペースをやや上げていたら、簡単にバテた。


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太陽は強く優しかった。サングラスがなかったら動けなかったところだ。
マリリンマンソンを聞きながらこの白い浄土の底で天を仰ぎたい。
頬や額がびりびりと冷える。
異様な緊張感の中で立ち尽くす。本格的な雪山は初めてだが、
まるで命を曝け出しているようだ。


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14:18、そろそれお時間となります。

( ・_ ;)今度来るときはこっちもパーティだ!
編成してやる!そして八丁坂を越えた向こう側に辿り着いてやる!
ちくしょう!



14:49、千畳敷の駅に帰還。
戻ってアイゼン外すだけで30分はかかる。
雪山は実に面倒だ。しかし面白い。未知とはこういうものか・・・
人心ついて力が抜ける。中途半端極まりない雪歩きだったが、
とても重要な経験をしたと思う。


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ロープウェイが下っていく。
攻め切れぬまま、恐怖心に囚われて、時間切れで引き返すのだから、
未練は深い。
つくづく地獄のようなところだ。


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十名にも満たない乗客。
雪山装備なく千畳敷に来ても、柵の中をくるっと回って、売店を冷やかせば、やることはなくなる。
あとは猛烈に寒いだけだ。
装備はあるのだ・・・あとは・・・
       云々・・・・


( ー_ー)” ←色々と煮えたぎってゐます。


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よく「なんでお前が山を・・・」「登山なんてガラじゃないのに・・・」と言われるが、
底知れぬ無限の表情と迫力、乱暴に言えば、異世界へ踏み入れることを知ってしまったためで
あると思う。
良いか悪いかは別として。




( ー_ー)ノ またリベンジをしなければ。
こんどはルートの明確なときに、八丁坂を越えて、駒ケ岳山頂まで。